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犬の肥満細胞腫(皮膚)

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どのような病気?

・犬の最もメジャーな皮膚腫瘍の一つ

・手術のみで根治できるものから積極的に治療をしても進行が制御できない致命的なものまであり、非常に経過が多様な腫瘍

・一部の犬種(パグ、ゴールデン、ボクサー)では同時期に多数の肥満細胞腫ができる(多発する)傾向にある

・多くは無症状だが、食欲不振・嘔吐・血便などの強い症状が現れることもある

 ※肥満細胞とは…アレルギーなどの炎症反応で重要な役割を果たす細胞です。太りすぎの肥満とは無関係です。

見た目、発生部位

・全身の皮膚、口や消化管などの粘膜、内臓などあらゆる場所に発生します

・皮膚に発生したものも色や大きさ、硬さは様々です

<注意!>肥満細胞はヒスタミンやヘパリンなどを含む顆粒を豊富に持ち、下手に刺激(しこりを過度に揉んだり)すると真っ赤に腫れ上がることがあります。家でしこりを見つけたときは特に触らず、早めに病院を受診しましょう。

検査

 針吸引生検/血液検査/レントゲン検査/超音波検査/病理組織学的検査(術後) 等

残念ながら肥満細胞腫は見た目や発生部位は診断につながりませんので、しこりに細い針を刺して細胞を見ます。

典型的な肥満細胞腫は顕微鏡での細胞診断が比較的容易なのでその場で検査結果がお話できるケースも多いです。

治療

<外科手術>

手術で切除することが最も理想的かつ効果的な治療法です。皮膚に発生したものであれば手術で根治が可能な場合も少なくありません。

腫瘍の進行度合いや発生した場所が悪く、手術での完全切除が難しいまたは手術のみでは治療が不十分と判断された場合には化学療法や放射線治療が併用されます。

<化学療法>

抗がん剤治療のこと。肥満細胞腫では飲み薬の抗がん剤を使用することが増えてきました。

<放射線療法>

大学病院や一部の大きな診療施設でのみ実施が可能です。

ポイントと解説

皮膚に発生した低グレードの肥満細胞腫であれば手術で良好な予後が期待できます(1年生存率95%)。

一方で高グレードの皮膚肥満細胞腫や発生部位の悪いもの(口や内臓など)では手術や抗がん剤治療を駆使しても急速に悪化していくケースもあります。

低グレードと診断された場合も術後の検診は必ず続け(少なくとも2年は必要)、再発や転移の有無に注意していきましょう。