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猫の乳腺腫瘍

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どのような病気?

・雌猫で発生頻度の高い悪性腫瘍の一つ
・転移率、再発率ともに高く予後が厳しいことが多い
・腫瘍の発生には性ホルモンが関わっている
・腫瘍のサイズは予後を決める重要な要素

治療

~基本は手術による切除~
猫の乳腺腫瘍はサイズに関係なく基本的には片側全摘(腫瘍の発生した側の乳腺組織を胸から股まで一括して切除する術式)が奨められます。しかしながら年齢や腫瘍の進行度合い、基礎疾患などの麻酔リスクによっては切除範囲を狭めることもあります。また手術後に抗がん剤治療を併用することも時にあります。

ポイントと解説

<ポイント①> およそ9割が悪性

猫の乳腺腫瘍はほとんどが悪性、つまり「乳癌」になります。また乳癌の3~5割は多発する傾向にありますので切除範囲はできるだけ広く深く設定しますが、それでも腫瘍の再発や肺などへの遠隔転移を抑えることは中々に難しいのが現状です。

<ポイント②> 1歳までに避妊手術をしておくと乳癌の予防効果が高い

避妊手術は乳腺腫瘍の発症リスクを減らします。また若い時に実施するほど予防効果が高く、6ヵ月齢までに避妊をした場合は発症リスクが91%減ることが分かっています。6~12ヵ月齢までの避妊でも86%減少と高い予防効果が見込まれますが、13ヵ月齢以降の手術では減少率は11%と大きく下がってしまいます。雌猫の場合は早い時期に避妊手術をしておくことをお勧めします。

<ポイント③> 2~3㎝で十分大きな腫瘍

猫の乳癌はサイズが大きくなるほど悪性度、浸潤度、転移率が高くなる傾向にあります。
3㎝以下の腫瘍でリンパ節への転移がない場合の術後3年生存率は16~56%ほどですが、3㎝より大きい腫瘍では術後3年生存率は0~17%と一層下がります。たとえ3㎝を超えていても手術をした場合の方がしなかった場合よりも長生きできること示されているので、患者の状態が手術可能であれば我々は治療を提案します。

まとめ

猫の乳腺腫瘍は「まだ小さいし、しばらく様子見ようかな」が通用しない悪性の疾患です。おうちの猫ちゃんにみつけてしまったらまずは一度病院へ行ってみてください。
残念ながら根治が望める有効な手立てがあまりないのが現状です。治療よりも予防することの方が効果的ですので、これから雌猫を飼われる方は避妊手術を是非前向きに考えてあげてください。